哲学をビジネスに。-思考武器の育成-

哲学、もっと言うとリベアルアーツ、教養を身につけることでビジネスで活躍、より生きやすくなる人を生産していきたい。

5分で哲学-浮気ロボット-

2064年、仮想セックスマシーンが完成。浮気の温床による不貞観念の流行を差し止めるために政府が考案したマシーンだ。

脳へ直接刺激することにより快感を喚起し、あたかもセックスをしたかのように錯覚させることで、浮気・不倫の防止に一躍買うことを期待されている。

発売当時は反対の声もあったが、表立って利用しているとは皆公開しないものの今では国民の8割が利用している大ヒット商品だ。じいちゃんがいうには、どうやら昔の人でいう風俗に近いらしい。

このマシーンの是非についてどう考えるだろうか?開発目的は、不倫・浮気の防止にあるので、そういう意味では嫉妬深い方には有難い代物かもしれない。なにしろ肉体的な接触はなく、脳みそをちょちょっと刺激するだけで完了なのだ。

さて、浮気がよくないと感じたり、嫉妬してしまう理由は自分以外の異性との肉体的接触があるから起きるのだろうか。


そうだ。これは進化論的に正しい。男であれば、パートナーが他の男と肉体的接触をもつことで妊娠するリスクを、女であれば妊娠後にパートナーが他の女に貢ぎ、自らに投資をしなくなるリスクを察知する為にデザインされた本能と言える。

そういった側面では、この仮想セックスマシーンは健全な子孫繁殖を守るといった意味でかなり効果的であると言える。
並木 友祐 | Tagbangers Blog

ただ、もう少し感情的な側面でみてみよう。浮気・不倫は具体的にどのような境界になっているのだろうか。手をつなぐ、キスをする、ディナーを共にする、セックスをする。

いや、自分以外の誰かに視線を向けられる、ことではなく自分自身に視線が向かなくなることそのものこと自体が浮気なのではないだろうか。

そう考えると、肉体を持った人間であれ、電気をびびびと飛ばすだけのセックスマシーンであれ、自分への関心が薄れていることには変わりはない。

「そもそも脳に直接電流を流し刺激するなんて非道徳ではないのか!?」という保守派の意見の他に、パートナーへの関心を無くさせてしまう元凶にならないのかという意見も出現しそうである。

進化論的にみれば、ロボットと一抹のイチャイチャでは妊娠することもないので、他の肉体を持った人間とうふんするよりもリスクヘッジとしてよさそうだ。

一方で、道徳的、感情的な側面では、仮想セックスマシーンは褒められたものではないのかもしれない。

AIが発達し、脳メカニズムの全貌が明らかになる、仮想セックスマシーンが技術的に可能になった際、貴方は支持しますか?